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森の女子大生のブログ

方向性が定まらない。インターネット関連のことが多めになる予感。

チケット転売は違法なのか?

チケット転売に関連する法律は3つ(迷惑防止条例古物営業法、詐欺罪)ありますが、どれも判断が難しく、違法行為かどうかはグレーです。

 

1. 迷惑防止条例

駅や道路などの「公共の場」での転売行為は都道府県が条例で禁止していますが、ネット空間で取り締まるルールはありません。インターネットは「公共の場」なのか?という不明確性が問題になっています。

 

そもそも「公共性」とは、「広く社会一般に利害・影響を持つ性質。特定の集団に限られることなく、社会全体に開かれていること」大辞林』(松村 1995)とされています。

迷惑防止条例の「公共の場所」は、不特定多数の集まるところ、個人の識別もされていない場所です。ネット空間のチケットマーケットプレイスのように、会員登録があり、個人の特定ができる場所は該当しません。

また東京都条例を例に取ると、ここでいう「公共の場所」とは興行場などに準じる場所とされているため、ネット空間は含まれないでしょう。(その他道府県の条例はこちらにまとまっていました)

 

東京都:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

(乗車券等の不当な売買行為(ダフヤ行為)の禁止)
第二条 何人も、乗車券、急行券、指定券、寝台券その他運送機関を利用し得る権利を証する物又は入場券、観覧券その他公共の娯楽施設を利用し得る権利を証する物(以下「乗車券等」という。)を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため乗車券等を、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む。以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、買い、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。
2 何人も、転売する目的で得た乗車券等を、公共の場所又は公共の乗物において、不特定の者に、売り、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは乗車券等を展示して売ろうとしてはならない。

 

ダフ行為の中心的な場所がネット上に移った以上、ネット空間でのチケット売買も迷惑防止条例で取り締まるべきという意見もありますが、現状では難しいようです。これについて、コンサートプロモーターズ協会の石川篤総務委員は以下のように述べています。

迷惑防止条例でネット上のダフ行為も規制できるよう、「ネット空間を公共の場として認めてほしい」と、国会議員都道府県、関連省庁に訴えているが、なかなか難しい。公共の場にネット空間が含まれると、ほかのさまざまな法律に影響が出ることや、実害が激しく出ているわけではないこと、明確な根拠法がないことなどが理由だ。
サーバはどこにでも置けるため、ネット上でのダフ屋行為は、どこを発生地とみるかで議論が分かれる。ダフ屋行為を規制する条例がない県もあり、全国的に網羅するのは難しい。結局、リアル空間での現行犯逮捕しかない。
コンサートプロモーターズ協会は、チケットの不正転売防止を目的とする協定を警視庁と結んでいる。今後も警視庁と情報共有し、摘発につなげていきたい。ITmedia NEWS

 

2. 古物営業法違反

チケットは中古品、古物の扱いになるため、営業として転売を繰り返す行為は都道府県などの許可が必要になります。ただ、どこまでが「個人が不要になったものを売っているだけ」で、どこからが営業になるのかが曖昧で、摘発例はあるものの判断は難しいようです。

【摘発例】2016年9月には、嵐のチケットをネット上で無許可で転売したとして、古物営業法違反(無許可営業)の疑いで神奈川県の女性が逮捕されました。2年前からチケット約300枚を転売し、計約1000万円を売り上げたとみられています。

これについてエンターテイメント業界に詳しい弁護士の福井建策さんは以下のように述べています。

「転売チケットは古物とされ、営業として売買を行うなら古物営業の許可がいる。逮捕された方は、転売の規模が大きかったため『営業』だと判断されたのだろう。これは営業許可を取れば済む話ではあるので、本当の転売業者への対策にはならないかもしれない。ただ、一般人には手続は重荷だし、逮捕者まで出たことで意外と抑止効果は大きい気がする」

 

3. 詐欺罪

2015年11月から、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンUSJ)は転売チケットの一律利用禁止を発表しました。転売が確認できたチケットのQRコードは無効化され、転売チケット購入者は入場できなくなります。

「転売することの禁止」だけではなく、「転売チケットを無効化」したことで、今後業者は入場できないことをわかってチケットを販売すれば、詐欺罪に問われる可能性が出てきます。

しかし「(入場できないチケットとわかったうえで、)故意に欺き財物を交付させた」ことが明らかなケースは多くないでしょう。

 

4. 規約違反

多くのイベント主催者は、チケット販売時に「営利目的の転売を禁じる」という規約を定めているため、転売は契約違反にあたる可能性はあります。しかし、現在の日本ではイベントのチケットのキャンセルがほとんど認められておらず、公式の再販システムの整備も遅れているため、この規約をもとにどこまで法律に訴えられるかについては、意見が分かれているようです。

 

以上のように、現行法ではチケット転売を厳重に取り締まることは難しく、摘発はごく一部の悪質な例に限られます。

ニューヨーク州などでは、チケットを定価より高く転売するネット上のダフ行為を処罰する州法があります。日本の音楽業界も、先程のコンサートプロモーターズ協会のように、ネットでのチケット転売を規制する法改正を目指しロビー活動をしていく可能性があります。法規制までする必要があるのか、ある程度までは市場原理に任せておくべきなのか、については議論が分かれるところでしょう。